ノラや

ノラや (中公文庫)

ノラや (中公文庫)

ああ、どうしよう、どうしよう、この子を死なせて ―「クルやお前か」
この一文で、奥の方にしまっておいた箱が開いて、胸が痛くて痛くて泣いた。私の可愛い子は小さなインコで、本当に小さくて黄緑色で可愛くて、名前はビリーで、8年前に帰らぬインコとなったのだけど、ビリーのことを思い出したとかそういうんじゃなて、そもそも忘れてないし、思い出してももう泣かないし、だから、何て言うか、「感覚」としてしまってあるんだなあ、と思ったのでした。